プロローグ

「今年の夏休みに北海道にいく。」
これはかなり前から予定していたことだった。
だが、レポートが幾つか科せられていたので、心置きなく旅が出来るよう、
すべて片づけてから、行くことにした。
だが、そのレポートがなかなか終らない。
なんやかんやで、とうとう盆になってしまった。
だが、図書館に通いつめ、必死に書いたおかげで、ようやく終った。
あぁ、とうとう、長年の夢だった北海道旅行に行けるんだ。
どのくらい広いんだろう、ラーメンも食べなきゃなぁと、心が躍りたつ。

出発の前日及び前前日は色々と準備に大変だった。
地図も買ったし、ガイドブックも1冊買った。
それから、駅のみどりの窓口で青春18切符もちゃんと買った。
(勿論、学生の身分で飛行機や新幹線を使おうなどという考えはこれっぽっちも無かった。)
古いウォークマンが調子がおかしかったので、新しいのを買った。
計画をちゃんと立てるべきか考えたが、これといった予定もなかったし、
自由気ままな旅が一番ということで、立てた計画は、出発日のたった一日分。
朝一の上野発の東北本線に尾久駅から乗り込み、青森まで行くというのが初日の予定。

出発当日は、結局、出発の時間まで徹夜で起きていた。
持っていく服を選んだりと、準備に戸惑って、寝る暇が無かったのだ。
(この時、厚手のトレーナーを一着持って行こうかどうか迷ったのだが、結局持って行った。
これが、北海道でずっと着るハメになろうとは。)
持ち物は、衣服、財布、時刻表、地図、ラーメン本、ノート、ボールペン、ウォークマン、等等。
9月のテストために一応プリントも持って行ったが、結局、使わず仕舞いだった。
これらを、通学に使っているリュックにぶちこんで、手荷物はそれだけ。(それでも結構重い)
それから、寝袋を当初は持っていく予定だったのだが、
到底リュックに入りきれなかったし、まぁ北海道とはいえ夏なんだし、
寝袋無しでも野宿は大丈夫だろうと思っていたので、結局持っていかなかった。
(結局これがあとで痛い目を見ることになるのだが。)
電気、ガス、水道、戸締まり、....ちゃんと点検して思い残すことも無し。
まだ、外は暗くひっそりと静まり返っているが、心躍らせてアパートの部屋を後にした。
ウォークマンでGLAYの「Together」を聞きながら.....

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