８月１７日（日）
ＡＭ４時〜４時半頃。
私は重いリュックを背負い、アパートを後にした。
これから、長い旅の始まりだ。
さて、まず目指すは、尾久駅。
上野方面行きの山手線がまだ出ていなかったので、
（本当は出ていたのだが、勘違いしていたのである。）
尾久駅まで歩いていくことにしたのである。
とにかく回りはまだ真っ暗で、少し心細かったりもする。
何はともあれ、本郷通りを遡り上中里駅の横を通って、尾久駅へと向かう。
途中で渡った東北本線の踏み切りから尾久駅の方を見たとき、
ライトがバーッと重なってとても感動したのを覚えているのだが、まあどうでもいいことだ。
それから途中でコンビニに寄って、朝食を購入。
そうこうしてるうちに夜も明け、尾久駅に到着。
だが、何とまだシャッターが開いていなかった.....
仕方なく、近くの花壇の煉瓦の上に腰掛ける。
向こうの方に、寝袋かなんかで寝ている人がいたが、
気に留めずさっき買った朝食を食った。
それから、何か寒かったので仕方なく着ていた半袖を脱ぎ、長袖のワイシャツを着ることにした。
（次にその半袖を着るのが１１日後の宮城県になろうとは、その時は知る由も無かったのである。）
ガラガラという音と共にシャッターが開く。
尾久駅もようやく朝を迎えたようだ。
早速、青春１８切符に今日の日付を入れてもらい、ホームへ行った。
５時１５分 尾久駅発。
車内はガラガラ。
前日寝てないせいで、急に眠くなる。
大宮辺りまでは記憶があるものの、それからはずっと寝ていた。
途中、小山駅で目が覚めた記憶があるが、結局その後もすぐ寝てしまい、
終点の黒磯駅の近くになってようやくちゃんと起きた。
７時４５分 黒磯駅着。
乗り換え時間が短いため、駅は出ずにそのまま次の列車へ。
７時４９分 黒磯駅発。
多分車内では寝てたのだろう。
あまり記憶が無い。
１０時０６分 福島駅着。
ちょっと駅から外に出てみた。
もう福島かぁと感慨にふせったりしながら、駅前をぶらつく。
でも、そんなにのんびりとは出来ないので、ちょっと駅前を見歩いて戻った。
１０時３９分 福島駅発。
１１時５７分 仙台駅着。
やって来ました。杜の都、仙台。
とはいっても、観光できるほどの暇はない。
一応乗り換え時間が４０分以上あるので、昼食をとることにした。
まあどうせ食うのなら、ラーメンがいいってことで、ラーメン屋をさがしたら、
駅前に「バラ」というお店を発見した。
あまり期待は持てなかったが、取りあえず入って牛バラ塩ラーメンを注文。
しかし、店内のメニューをよく見ると、「とんこつラーメン」があるではないか。
しまった！とんこつがあるんだったら、それにするんだった！．．．後悔。
で、牛バラ塩ラーメンを食べたのだが、牛バラはおいしかったけど、スープがイマイチ。
まあ、たまたま入った店だから、仕方ないか．．．
それから、駅の本屋で「マップルマガジン
食べ歩き仙台」を購入。（ついでに、近代麻雀も）
で、トイレに行ったのだが、近くに別のラーメン屋（チョウチャン）を発見した。
何とここにも、とんこつラーメンがあるではないか。
まぁ、駅構内のラーメン屋だから、たかがしれてると思ったが、
それでも、「とんこつラーメン」の名に弱い私は、気になって仕方が無かった。
しかし、次の電車の出発時間が迫っていたので、仕方なく改札の方へと向かったのであった。
１２時４０分 仙台駅発。
車内で、さっき買った「マップル」を読む。
勿論、他の料理には目をくれず、ラーメン屋だけを目で探しながら読んだのだが、
さっき行った「バラ」が載っていたのは驚いた。
他にも何軒か美味しそうなラーメン屋が載っている。
もうちと仙台でゆっくりしても良かったかなぁと思いつつも、次は近麻を読む。
１４時１９分 一ノ関駅着。
岩手県南部の中心都市「一ノ関」に到着。
ここでも、乗り換え時間が４０分以上あったので、駅前の商店街を散歩した。
本屋に立ち入っては、岩手のラーメン本は売っていないかなぁ？と探したが、
ラーメン関係の本は１冊も無かった。
そうこうしているうちに、出発の時間が．．．
１５時００分 一ノ関駅発。
今までの電車と違って、かなり混んでいる。
こんなことなら、早めに乗り込んで席を取っておくんだった。
で、数十分ほど立っていたのだが、前が開いたので座ることにした。
すると、別のおばちゃんも座って来て、ギュウギュウ詰めになってしまったのだ。
そのまま何分か絶えていたのだが、仕舞いには耐え切れなくなって、立つことにした。
恐るべし、おばちゃんパワー。
それから、盛岡まではずっと混んでいたが、盛岡で殆どの人が降りて行ったので、
そこからは、ずっと座ることが出来た。
それにしても、岩手県はでかい。
２時間以上は岩手県内だったような気がする。
さて、ここで問題だったのが、このまま終点の青森に行っても、
早く着きすぎるということであった。
いずれにせよ、当日中に北海道に上陸するのは不可能なので、
（快速「海峡」の最終便には間に合わないので）
途中で寄り道して青森に行っても問題無いという訳だ。
というわけで、「ラーメンを食べるため途中下車でもするかぁ。」
ということにあいなったのである。
その時点での第１候補は、東京は高田馬場にも支店がある熊本の名店
「富士ラーメン」の青森支店らしき「熊本ラーメン＠八戸」。
で、第２候補が博多ラーメンの全国チェーン店「夢や＠三沢」であった。
幸いなことに、列車が八戸駅で２０分位停車するということだったので、
八戸駅で両方のお店に電話をかけたのである。
すると、「熊本ラーメン＠八戸」のほうは誰も電話に出なかったのに対し、
「夢や＠三沢」の方は夜もやってるとのことだったので、
「熊本ラーメン＠八戸」は帰りがけってことで、諦めて三沢へと向かうことにした。
三沢に着く頃には、もう完全に夜になっていた。
１９時１７分 三沢駅着
ここでは２時間程時間があったのでゆっくりとできた。
まずは、着くや否や「夢や」へ。
とはいっても、住所やＴＥＬがわかっていても、実際それがどこなのかが分からない。
青森県の地図を持参していたのだが、それを見てもどうも分からなかったので、
やむを得ず、タクシーを使うことにした。
という訳で、電車代をこれだけケチっていながら、
何故かタクシーを使う矛盾を感じながらも、タクシー乗り場へ。
タクシーの運転手さんに「夢やってラーメン屋、分かりますか？」って聞いたら、
あっさりと、「あぁ、分かりますよ。」って言ったので、安心した。
それから、タクシーに揺られ（？）「夢や」へ。
途中、運転手さんに「夢やにラーメン食べに行くんですか？」と聞かれ、
「え、まあ、そこで友達と待ち合わせているもので．．．」と嘘を付いてしまった。
「夢や」は、駐車場の広い地方型のラーメン屋だった。
しかし、店内はそんなに広くはない。
そこでは、「博多ラーメン」を食べたが、青森と博多が遠いせいか、
本場のそれとは違うものだった。（縮れ麺で、スープにも深みが無い。）
まあでも、いい思い出になったし、三沢で博多ラーメンを食べたという変な満足感も得られたので、
来なけりゃ良かったとまでは思わなかった。
で、帰りは店からタクシーを呼んでもらい、また駅へと戻った。
タクシーを待っている間、リアゴー（リアルゴールド）を買って、
ラベルのところに「みちのくコカコーラ」と書かれてあったのを見たときちょっと感動した。
再び駅に戻ったが、まだ充分時間があったので、駅の回りをぶらついた。
十和田鉄道の駅もちょっと覗いてみたが、かなり小規模な鉄道だという印象を受けた。
それから、駅の近くの売店（コンビニではないと思う）で、
アイスクリームを買ったのだが、このアイスの濃かったこと。
なんと乳脂肪分が２５％以上もあったのだ。
いままで食べたもっとも濃いアイスが乳脂肪分１６％だったので、それをはるかに上回っている。
まあ、どうでもいいことと言えばどうでもいいことなんだが．．．
で、駅の待合室でそのアイスを食べながら、テレビを見ていたら、天気予報をやっていて、
出ている地域が、当たり前のことだが東北地方の北部一帯。
もうこんなとこまで来ちまったんだなあ、と改めて感慨に耽ける。
あと、実家に電話を書けたが、弟が出たので、
「今、青森県にいる」って言ったら、びっくりしていた。
２１時１７分 三沢駅発
辺りは完全に夜で、外の風景など全く見えない。
乗客の姿もまばら。
２２時３５分 青森駅着
東京のアパートを出てから、１８時間以上。
本州の北の果て、青森に着いた。
まずは、「とんこつラーメン
天空」へ。
八戸駅で電話したとき、夜の１２時までやっているといったので、
ならば是非とばかりに、勇んで行った。
地図で場所は分かっていたので、駅から歩いて行った。
それにしても、夜中とはいえ３０万もの人口をもつ都市なのに、
えらく静かだなぁ、と感じてしまう。
人通りも車の通りも、殆ど無い。
「天空」にも客は私一人きりだったので寂しかった。
テレビでは「電波少年」がやっていた。
さてさて、ラーメンの味の方だが、どうもイマイチ美味しくなかった。
でも、麺は直麺で、替玉もあったし、九州を意識しているという印象は受けた。
それにしても、東京ではすでに浸透しているとはいえ、
青森の人に替玉の意味が分かるのだろうか。
それから、色々と歩き回りながら駅に戻った。
そして、待合室で明日の計画を練っていたのだが、１２時を過ぎた頃、駅員さんがやってきて、
鍵を閉めるからということで追い出されてしまった。
そのため、駅の待合室で夜を過ごすという訳にはいかなくなってしまったのだ。
待合室が開くのは午前５時ということだが、それまで俺はどうすればいいんだ？
しかしまあ、それにしても、ゲーセンやコンビニがあれば時間も潰せるのに、
そんなものすらありゃあしない。しかも、予想以上に冷え込む。
しまった、寝袋持ってくるんだった！と後悔しても、もうあとの祭りである。
駅の前やバス乗り場には寝袋にくるまって寝ている人達が結構たくさん居た。
だが、私には寝袋が無い。
やむなく、散歩でもすることに.....
で、港の方に向かうと、公園があった。
そこはどうやら、「八甲田丸」が出入りする港のようだった。
海を北の方に向かって見ながら、
「北海道ぉ、明日はまってろよー。」などと、心の中で叫んでいた。
幸い公園にベンチがあったので、そこをねぐらとすることにした。
しかし、まあ、海が近いせいもあってか、風が吹いて寒い。
それでも、我慢しながら横になっていると、
誰か知らぬ若僧が一人、スケボーの練習にやってきた。
ガタガタうるさかったので、あまりよく眠れなかった。
それからしばらく経つと、その若僧もいなくなった。
でも、やはり寒くて眠れない。
それから、静まり返った市街地の方に行き、
電話ボックスや歩道の脇のベンチで時間を潰したが、これまた全然眠れなかった。
また、バス乗り場の方にも行った。
ここでは、ちょっとだけ仮眠がとれたような気がする。
まあ、いずれにせよ、到底充分な睡眠はとれない。
また、５時になるまでが長いこと。
５時にさえなってくれれば、待合室で休めるのに。
何故、ＪＲはそんなに意地悪なんだ！
５時になると、長くて寒くて辛い夜がようやく終わり、
ようやく、駅の待合室に入ることができた。
いやはや、外に比べて何と暖かいこと。
それにしても、１日目からこうでは先が思いやられる。
特に、寝る場所については考えさせられた初日であった。